北野武『首』を観ました

 こんばんは、文月柚子です。夜中の2時にこのブログを書いています。かなり長い記事になりそうです。なるべく核心的なネタバレは避けますが、結構深いところまで書くつもりなのでまだ観ておられない方はご注意下さい。


 という事で昨日は北野武監督作品の『首』を観に行ってきました。久々の映画館で緊張するかと思いきや、最近薬を増やしたおかげなのか躁状態だからなのか特に不安になることもなく楽しめました。

 私はアロマンティック・アセクシュアルを自認していますが、創作物に於ける(史書から読み取れるものも含めた)ロマンティック・セクシュアルな要素は楽しめるタイプですので、『首』のホモソーシャル・ホモエロティック描写はとても刺激的で魅力的でした。

 特に創作はしていないものの幼少期から戦国時代が好きなので、男色シーンや合戦シーンなどの生々しさが良かったです。エンドロールで「動物に危害は与えていません」と流れてきたのも好感触です。競馬が好きなのもあって、馬への加虐はキツいものがありますからね(勿論犬や猫などもです)。


 昔からギャル信長と生真面目光秀が好きなため、ホモソーシャル内カースト最上位にいる奔放ギャルな信長とそれに理不尽に振り回されながらも着いて行く光秀の関係性も良かったのですが、個人的には斎藤利三(彼も好きな武将の1人です)が光秀のことを密かに恋い慕い荒木村重との関係に妬いているような描写がとてもツボでした。でも村重は信長との血塗れキスシーンがエロすぎて、正直光秀とのセックスシーンよりもそちらに興奮してしまいました……。

 本能寺の変の後山崎の戦いで秀吉が光秀を破るのは皆様ご存知かと思いますが、野心や愛など様々な形で権力者の「首」に執着するホモロマンティックな感情、それを理解しない秀吉が最終的な勝利者になるのは題名への皮肉が効いていて面白かったです。


 いやはや、近年観た映画の中でもトップクラスの傑作でした。無限湧きする家康はギャグとして丁度いい塩梅でしたし、甲賀忍者たちも格好良かったです。そして最後に言いたい、北野武は蜀漢征伐〜鍾会の反乱を描いた映画を撮ってくれ……(これが言いたかった)。